一般的な過去問の開始時期は9月ですが、これは過去問を解く目的を考えるた時に多くの受験生に適した時期となるためです。
まずは、過去問を解く目的について簡単におさらいしておきましょう。
過去問を解く目的
まずは過去問を解く真の目的について紹介します。
9月から12月の過去問演習の目的は志望校の合否判定ではありません。
この時期の過去問を解くことの目的には、志望校の傾向を把握する、自分の弱点を知る、学習計画を立てる、算数の学力を上げるなど、重要な目的があります。
1月に取り組む過去問演習とは目的が異なります。
過去問を解く目的の詳細については、下記の別記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
過去問に取り組む最適な時期
多くの塾の先生がが推奨する過去問開始時期は、6年生の9月です。
この時期を推している理由は、夏期講習が終わり基礎学力が身についていること、受験まで十分な時間があり分析と対策が可能であること、そして志望校の選定がある程度固まっていることが挙げられます。
ただし、受験生に要求される基礎学力は志望校の入試問題のレベルによって異なります。また、個人の学力レベルも異なります。よって、過去問演習の開始時期については調整が必要です。
調整が必要な部分でもあるため、先生によっては過去問を解き始めを早い時期に指示する先生と、かなり遅い時期に指示する先生がいます。
一般的に言われる9月開始に固執するのではなく、自分の現在の実力と志望校の出題傾向を考慮し、適切な開始時期を決めることが重要です。
早期開始派の考え方
6年生の4月や極端な所では5年生から過去問演習を開始するように指示する先生がいます。
難関校合格を目指す生徒を指導している塾の先生に多いと思いますが、私自身はサピックスオープンで全国10位に入る生徒にもそのような指示は出していません。
この考え方には、早期に出題傾向を把握できる点、明確な目標設定ができる点、さらに、単元ごとの学習計画が立てやすいといったメリットがあります。
しかし、デメリットとして、基礎学力が不十分な段階で過去問に取り組むと、あまりの出来なさに自信喪失という結果しか残りません。
また、偏った単元ばかり学習する可能性や、基礎部分の学習時間が減少してしまう恐れもあります。
早期に過去問を始める場合は、これらのリスクに十分注意を払う必要があります。
塾という管理された空間の中での過去問演習はメリットがあるかと思いますが、6年の夏期講習前に一人で取り組むのはおすすめしません。
遅めの開始派の考え方
一方で、12月頃から始めることを指示する先生もいます。
算数の力が不足している生徒に対しては、早期派の先生でさえも12月からやるように指示することもあります。
そもそも過去問を解く以前に基礎学力がなく、9月の時点で入試問題に取り組んでも歯が立たず自信を喪失するだけ、というケースです。
このような場合、9月から11月までは塾のテキスト等を使い、体系的な学習を継続して、典型問題の習得に集中し、基礎力を十分に固めることに専念するわけです。
遅めに開始しても、志望校で出題される問題が易しく、典型問題主体の学校であれば過去問演習を12月から取り組んでも十分間に合います。大まかな目安としては日能研や四谷大塚で偏差値50前後、首都圏模試で偏差値60前後までの学校となります。
ただし、この時期に開始するにも課題があります。
出題形式に慣れる時間が不足したり、志望校の出題レベルの把握が遅れたりする可能性があります。
また過去問演習をすることで、入試に向けてモチベーションの発揚が期待できるのですが、それがないことです。
さらに、アレンジ問題・初見問題への対応力が弱くなる恐れもあり、そのような出題が多い難関校・上位校では入試に対応できなくなってしまいます。
遅めに開始する場合は、これらの点を考慮し、例えば押さえの学校の過去問を解いてみたりと、効率的な学習計画を立てる必要があります。
まとめ
過去問演習は単なる練習ではなく、受験戦略を立てる重要な取り組みです。
一般的には9月頃からの開始ですが、過去問開始の最適な時期は、個人の学力や志望校によって異なります。
焦って早すぎる時期に始めると挫折感しか残らず、かといって遅すぎると学校によっては十分な対策が立てられなくなってしまいます。
早すぎず遅すぎず、適切なタイミングで始めることで、効果的な受験対策が可能になります。
自分の現状をしっかりと把握し、志望校の難易度を考慮しながら、迷ったら塾の担当の先生とも相談し、最適な開始時期に取り組み始めましょう。
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