過去問演習で合否判定はしない
中学受験において、過去問演習は重要な取り組みの一つですが、その目的を誤解してはいけません。
特に9月から12月の過去問演習の目的は、志望校の合否判定のためではありません。
もちろん、1月後半の直前期に高望みしている学校を最終的に受験するかどうかの判断に使うことはありますが、9月からの過去問演習と直前期の過去問演習では次元が全く異なります。
9月から12月の段階では、多くの中学受験生にとって合格に必要な学力がまだ十分についていません。
よって、この時期に過去問演習をして点数を出しても、合格者平均どころか、受験者平均にもとどかないことがほとんどです。
実際に、模擬試験の合否判定では60%合格という生徒でも、9月に志望校の過去問演習をすると、100点中20点とか、30点とかは結構普通です。
毎年受験指導をしていると、落ち込んだ挙句、発狂したりする生徒や保護者がいますが、淡々と力をつけていくことを考えて欲しいです。
中学受験生の学力は受験直前の12月や1月に急上昇することが多いです。詳しくは下記の記事をご覧ください。
以上より、12月までの過去問演習では低い得点に対して過度に落ち込む必要はありません。
一方で、同じ問題をどこかでたまたま解いた経験がある場合、実際の実力以上に得点となるため、注意が必要です。
過去問を解く5つの重要な目的
志望校を知る(彼を知る)
過去問を解くことで、志望校の出題傾向を詳しく把握することができます。
問題のレベルや難易度を理解し、学校独自の特徴的な問題を目にしたり、志望校の求める学力や思考力を具体的に知ることができ、より的確な受験対策が可能になります。
自分を知る(己を知る)
過去問に取り組むことで、自分の得意な単元と苦手な単元を明確に把握することが大切です。
また、各問題タイプにかかる解答時間をきちんと把握しておくことで、本番での時間配分の参考にすることができます。
さらに、ミスの傾向を分析することで、自分の弱点を見つけ、改善点を明らかにすることができます。
学習計画を立てる
過去問の結果を基に、弱点を克服するための効果的な学習方法を決定することができます。
入試本番までの残り期間を考慮しながら、優先順位の高い単元を特定し、集中的に学習することが可能になります。
また、志望校の出題傾向に合わせて学習の強弱をつけることで、効率的な受験対策を行うことができます。
算数の学力の底上げをする
過去問を解くことは、算数の学力を総合的に向上させる絶好の機会です。
この目的は、過去問に取り組む際の、最も重要な理由の一つと言えるでしょう。
志望校の過去問を解く際は、小学生は普段のテキストの問題を解くときよりも一生懸命問題に取り組むことになるため、緊張感が生まれ、真剣に問題に向き合います。
この真剣な取り組みこそが、本番でも力を発揮できる精神力を養うとともに、算数の学力を大きく底上げする効果をもたらします。
様々なタイプの問題を解くことで、柔軟な問題解決能力を身につけることもできます。
また、志望校レベルの問題に繰り返し取り組むことで、高度な思考力を養うことができます。
結果として、過去問で学んだ解法や考え方を他の問題にも応用力を培うことができ、未知の問題に直面したときに大きな力を発揮します。
継続的に過去問に取り組むことで、算数全般の基礎力から応用力まで総合的に向上させることができるのです。
一生懸命に取り組むことで、問題の本質を深く理解し、この深い理解が、算数全般の実力向上につながります。
ぐだぐだ書いてしまいましたが、過去問を解く最大の目的の一つは、まさに「算数の力の底上げ」にあります。
客観的に分析する
過去問を通じて、自己の現在の実力、どの単元ができていて、どの単元を強化すべきかを正確に把握することができます。
複数年度やった後で進捗状況を確認することで、自分の成長を実感することもできます。
また、学習計画の効果を検証し、必要に応じて調整を行うことで、より効果的な学習を継続することができます。
まとめ
過去問を解くことは、志望校の合否判定をすることではありません。
それは、志望校で出題された問題への理解を深め、自己分析を行い、効果的な学習計画を立て、そして何より算数の実力を大きく向上させるための重要な取り組みなのです。
過去問に真剣に取り組むことで得られる効果は、単なる問題演習以上のものがあり、志望校合格に向けた総合的な力を養うことにつながります。
さらに、問題を解く力だけでなく、粘り強く取り組む姿勢や、困難な問題に立ち向かう勇気も同時に培われていきます。
過去問を解く際はこれらの目的を常に意識し、最大限の効果を得られるよう心がけましょう。
そうすることで、確実に実力が向上し、志望校合格への道が開けていくはずです。
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