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中学受験 算数の答え 仮分数か帯分数か

1よりも大きい数を分数で書き表すとき、仮分数と帯分数のどちらを書くかで迷う受験生が多いです。進学塾では帯分数を書くように指示され、一方で、小学校のテストでは仮分数でマルをもらっている場合もあります。仮分数でも正解にするかどうかは各学校の採点基準によりますが、現状では「帯分数」が無難です。
Smart girl writing down numbers on blackboard during math class

そもそも仮分数、帯分数とは

どちらも、1以上の数を分数を用いて書き表す際に使う書き方です。

仮分数は分子の数が分母の数と同じか、それより大きい分数です。

\begin{align} 仮分数 \frac{3}{3}, \frac{5}{2}, \frac{8}{8}, \frac{100}{13}, \frac{18}{3},…など \end{align}

ちなみに、分子の数が分母の数より小さい分数を真分数といいます。

\begin{align} 真分数 \frac{1}{3}, \frac{5}{12}, \frac{7}{15}, \frac{53}{100}, \frac{1}{1000},…など \end{align}

帯分数は整数と真分数を和の形で表した分数です。中学校以上ではあまり使いません。よって、子どもの勉強を見て久しぶりに見るお父さんお母さんも多いと思います。

\begin{align} 帯分数 1\frac{3}{5}, 4\frac{3}{7}, 123\frac{8}{15},・・・など \end{align}

帯分数について難しく考えている人もいますが、4と3分の1であれば4+3分の1と同じです。整数と真分数の間にある+の記号が省略されているだけです。

\begin{align} 4\frac{1}{3}=4+\frac{1}{3} \end{align}

帯分数の足し算引き算では整数部分と分数部分を分けて計算します。

\begin{align} 3\frac{2}{7}+5\frac{3}{7} \end{align} \begin{align} 3+\frac{2}{7}+5+\frac{3}{7} \end{align}

帯分数の整数部分と真分数の間に+の記号が省略されているという事がきちんとわかってないと、いくら計算練習をしても仕組みがわかっていないので身につきません。

進学塾では帯分数を強く推奨

進学塾では、1よりも大きな数を分数で答える時は仮分数ではなく帯分数で答えるよう指示しています。また、進学塾のテストでは帯分数で答えないとバツになったりします。

その理由としては、進学塾の小テストや模擬テストは合格させるための力をつけさせるという目的もあるため、実際の中学入試の採点のルールよりも厳しくしている面もあります。

模擬テストで仮分数を書きマルをもらってしまうという経験があると、答え方を直すことはまずないと思います。

それ故に、入試本番で仮分数で答えて不合格の原因にもなったら、回り回って、その模試の信頼性が損なわれてしまうため、仮分数だと減点したりバツにしたりするのです。

中学入試で学校が確認したいこと

中学入試を行う意義は生徒数を定員内に収めるという当たり前のことの他に、入試を通じて今後6年間その学校でやっていくことができるか、その学校の授業で要求されるレベルの知識や問題を解く技術があるかを確認することにあります。

たまに定員割れが起こっても合格者数を絞っている学校があるのは、その学校の授業レベルについていけない生徒を入学させないことにあります。

さらに学校としては、入学した後に学校のルールを守ることができるかということも確認したい事項のひとつです。

現状の中学受験では、答えは仮分数ではなく帯分数で書くというルールになっている以上、減点する学校があるのはそういう面もあるのだと思います。

ちなみに、分数が答えになる問題で、約分を忘れていて、既約分数で答えなかった場合は確実に不正解※になります。
小学校で分数を学習する際に、教科書に「約分して既約分数で答えましょう」と書いてある以上、既約分数で答えることは絶対です。これは中学受験界でのルールではなく、ほぼ常識レベルでのルールとなります。
※規則性の問題等では、既約分数で答えると逆に不正解になる問題もあります。

約分忘れにおいて、分子・分母が偶数の際の約分忘れはあまりないですが、分子・分母のどちらも13や17、19の倍数だった時に約分を忘れてしまう受験生は多いので気をつけましょう。

同じようなことで、小数の計算において、計算して2.0という答えが出た際は、指示がない限り不要な0は消し2と答える、というのも小学校で学習するルールのひとつです。こういった数の表し方に普段接している大人が、子供に勉強を教える時は気をつけたいポイントです。

最近は帯分数・仮分数を問わない学校も

ここまでの記事を読んでいただくと、答えは仮分数ではなく帯分数で書かないとダメなのかと思われますが、昨今は答えは帯分数で、という縛りも以前と比べるとかなり緩和されています。

生徒から小学校での状況を聞く限り、答えは仮分数でもOKとしているところがほとんどで、帯分数で書くべきというルールがなくなりつつあるのが現状です。

実際に小学校6年生の算数の教科書(東京書籍)を見ると、分数のたし算、ひき算の問題の答えには帯分数と仮分数が併記されています。

さらに、学習指導要領には「分数の計算については,真分数や仮分数の計算を中心に扱い,帯分数を含む計算については児童の実態によって扱うものとする。」とあり、もはや帯分数はオプション扱いです。

よって、現在では中学によっては仮分数でも正解とするところが多いのではないかと思います。

実際の中学入試では

武蔵中学校と栄東中学校の出題担当の先生、三輪田学園の数学科の先生に直接聞いた際、答えは仮分数、帯分数はどちらでも構わないとのことでした。

しかし、他の私立中学の先生とお話しして、このことについて聞いてみても、明確に答えてくれるところはあまりありません。

「そんなことくらい答えてよ」と思いますが、採点の基準は基本的には非公開です。これだけ答えて他の基準に答えないというわけにもいかないので、中学校の先生がこの「帯分数仮分数問題」について明言を避ける気持ちはわかります。

受験生・保護者にとっても、いくら仮分数で大丈夫とはいえ、入試問題で明確に指示されている訳でもないので心配ではあります。正直なところ私も受験生に対して「仮分数でも絶対に大丈夫だよ」と言う自信はありません。

中学入試の問題をインターネット上で公開している学校があります。そのうち数は少ないですが模範解答まで公開している学校があるので調べてみました。(2022年6月時点)

その結果が下記の通りで、模範解答に仮分数が掲載されている学校では仮分数でも正解にしてます。

模範解答が帯分数の学校

穎明館中学校・桜蔭中学校・鴎友学園女子中学校・大妻多摩中学校・大妻中野中学校・カリタス女子中学校・光塩女子学院中等科・晃華学園中学校・国府台女子学院中学部・実践女子学園中学校・品川女子学院中等部・成城学園中学校・清泉女学院中学校・洗足学園中学校・田園調布学園中等部・東京女学館中学校・桐光学園中学校・普連土学園中学校・和洋国府台女子中学校

これらの学校では模範解答に帯分数のみが記載されています。採点基準は文科省で統一していることはなく、各学校の裁量事項です。よって模範解答を帯分数にしていると、仮分数だと減点されている可能性があるのです。私が自信をもって仮分数でも大丈夫と言えない理由はここにあります。

パッと見ると女子校が多いですね。
・・・と言いますか、模範解答まで公開する学校が少ない上に、男子校や共学の学校はあまり公開したがらない傾向があるようです。

個人的な考えですが、どの学校も入試直後、少なくとも2月中には入試問題と模範解答を公開すべきかと思います。(著作権の関係で国語の問題文などの掲載は無理でしょうけど・・・)

変なツッコミを入れられるのは癪だとか、前例がないなど色々な理由で公開していないのかもしれません。

しかしながら、試験後早いうちに公開して、ミスを指摘してもらった方が、新学期が始まってから出題ミス等が発覚し、新たに追加合格者を出すという最悪の事態は防げると思うので、学校側にとってもメリットはあると思います。

模範解答の答えが仮分数の学校

桜美林中学校・東京都市大学付属中学校・トキワ松学園中学校・獨協中学校・白陵中学校・本郷中学校・和洋九段女子中学校(答えに仮分数、帯分数を併記している場合も含む)

男子校・共学校が多い気がします。

ちなみに学校の先生が出題傾向などの話をする際、考え方がきちんとしていればOKという話をよく聞きます。

実際、中学に入学すると帯分数は存在を「消される」ので、模範解答が帯分数の学校の先生でも帯分数・仮分数にこだわっていはいないようです。

仮分数指定の学校も

入試問題を見ていて気が付いたのですが、早稲田大学高等学院中学部は帯分数ではなく仮分数の指定があります。

このような指定がある場合は、当然のことながら帯分数で書くとバツもしくは減点となります。仮分数指定はとても珍しいと思います。

仮分数指定(早稲田高等学院中学部)

問題冊子の表紙の注意事項の部分にしか記載がありません。入試問題は表紙の注意書きまで見落とさないようにきちんと読んでおくべきですね。

結論

以上より、仮分数で書くか帯分数で書くかは、それぞれの学校に採点の基準によって異なるとしか言いようがありません。

ただ、今後はどちらでもOKというのが優勢となってくることは確かでしょう。

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